With me





















「この香り…朝言ってた石鹸ですか?」
「あぁ、そう、これだよこれ」
そういって差し出されたショッキングピンクの塊に鼻先を近付ければ甘ったるいどころじゃない、脳を横殴りされたような強烈な甘い匂いに思わず口元を手で覆って匂いを遮断した。
「甘いいい匂いだろ?」
「いいかどうかは分かりませんが、虫が寄ってきそうなほど甘い匂いですね」
「かもな」
そういって笑う虎徹さんが躯を洗っている間、先に洗顔を済ませておく。顔を濯ぎ終わると虎徹さんも躯を洗い終え、スポンジを受け取って同様に僕も躯を洗い始めた。
「甘いな」
僕の躯の泡に鼻先を近付けてくんくん匂いを嗅ぐ虎徹さんはどこか頬が赤い。気のせいだろうか、それともシャワーのせいだろうか。だが、そんな甘いものではなかった。
「手伝ってやるよ」
突然虎徹さんがしゃがみ込むと泡まみれになった僕の股間を握ってきた。
「!?」
驚きで一瞬息を詰まらせるものの、虎徹さんは気にするそぶりも見せず、泡まみれの柔らかいそれをにちにちといじっている。その上気した頬を見て理解した。興奮してる、それも性的に。
さっきの火事が原因だろう。崩れ落ちてくる瓦礫に迫りくる炎と煙。ヒーロースーツを着用し能力を使っているといえども本能的に襲いかかってくる恐怖を追い払うことはできない。それに生命の危機を感じ、生殖本能にスイッチが入ったところか。
自分も躯の疲労とは真逆に気持ちは静かにハイになっていたし、疲れマラもあってか、快感を煽る手つきに素直に感じることにした。
「すっげぇべたべたすんな」
「泡のせいでしょ」
からかうような口調に泡のせいにしてみたけれど、自分がどれほど興奮してるかなんて自分が一番分かっている。泡でも誤魔化しきれないほど先走りが溢れて石鹸の滑りとは異なる滑りでにちゃにちゃと水音が響く。真っ白な泡まみれになった肉棒をまるでおもちゃを与えられたように嬉しそうにいじる虎徹さんを見て、自分一人場違いなほどに興奮しているような気がした。
「すっげぇいい匂いするから口でしてもいい?」
「キャンディーみたいな香りだからって噛まないでくださいよ」
「…善処します」
悪戯っぽく笑う虎徹さんに僕は肩をすくめてシャワーコックを捻り、全身にまとわりつく泡を洗い流す。その間も虎徹さんは待ちきれないのかずっと肉棒を握ったまま僕の代わりに丁寧に泡を洗い流してくれた。
お湯を止めると同時に虎徹さんがカリの部分に鼻先を擦りつけ、すんすんと匂いを嗅ぐのがひどく恥ずかしい。
「いつもと違うすげぇいい匂い…本当キャンディーみたいだな」
「いつもの僕の匂いとどっちが好きですか?」
擽るように虎徹さんの左の耳をいじれば、琥珀色の瞳を蜂蜜のようにとろけさせながら猫のように手のひらに頬を擦りつけてきた。